一定の条件をクリアする不動産を購入した場合、翌年の確定申告を行うことで控除を受けることができます。
しかし、会社員で年末調整しか利用したことがない方、不動産購入が初めての方にとってどのような手続きが必要なのか把握できていない方は多いことでしょう。
そこで今回は、不動産を購入予定の方に向けて確定申告が必要なケース、住宅ローン控除の適用要件、必要書類、申告時の注意点などについて解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
不動産を購入したときには確定申告が必要?
不動産を購入した場合、すべてのケースで必ず確定申告が必要というわけではありません。
しかし、一定の条件をクリアする不動産を購入したときは、確定申告をすると控除を受けることができます。
不動産購入後の確定申告をミスなく終わらせるためにも、まずは正しい手続きについてしっかり理解することが大切です。
ここからは、確定申告の意味やメリットについて見ていきましょう。
確定申告とは
そもそも「確定申告」とは、所得を申告して正しい税金を算出するための手続きです。
2月中旬から申告受付がスタートし、3月中旬に受付を締め切ります。
確定申告で提出する所得には、不動産所得や給与所得、配当所得、利子所得、一時所得、雑所得、退職所得などさまざまな種類があります。
会社で勤めているほとんどの方は年末調整によって収入を申告しますが、会社の年末調整によって申請できるのは給与所得のみです。
そのため、会社での給与以外にも収入がある方は確定申告をおこなう必要があります。
手続きを怠ると税金が加算されるケースもあるため、忘れないように注意が必要です。
確定申告すれば納めた税金が戻ってくる場合もある
確定申告をすると、納めすぎた税金が戻ってくる場合があります。
これを還付といいます。
たとえば所得税の控除を受けられる以下のような理由がある場合、確定申告をすることによって払いすぎた税金が還付金として戻ってくる可能性があります。
- ふるさと納税などの寄付(寄付金控除)
- 一定の要件をクリアする不動産を住宅ローンで購入(住宅ローン控除)
- 医療費を多く支払った(医療費控除)
- 災害や盗難で損害を受けたとき(雑損控除)
会社の年末調整では、おもに社会保険料や生命保険料、扶養に関する控除しか申請できません。
そのため、年末調整で申告できない控除を申請したい場合は別で確定申告をおこなう必要があります。
控除するべき理由があるにもかかわらず確定申告をしなかった場合、所得税を多く支払いすぎることになりかねません。
節税できる手続きをしっかり把握しておき、必要書類を紛失しないように注意してください。
不動産購入後の確定申告で戻ってくる「住宅ローン控除」とは?
つぎに、住宅ローン控除について見ていきましょう。
住宅ローン控除とは、一定の条件をクリアする不動産をローンで買った際に所得税の控除を受けられる制度です。
ここからは、住宅ローン控除がどのような不動産に適用されるのかについて新築と中古に分けて解説します。
控除の具体的な内容についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローン控除の適用要件(新築住宅の場合)
新築住宅で住宅ローン控除を受けたい方は、おもに以下の要件をクリアする物件を探す必要があります。
- 購入した不動産について10年以上のローンを組むこと
- 控除を受ける本人が不動産引渡し日から6ヵ月以内に住み始めること
- 控除を受ける年の所得額の合計が3,000万円以下であること
- 床面積が50㎡以上(所得が1,000万円以下の場合は40㎡以上)かつ1/2を居住用として使用すること
- 「取得する前の2年間+取得した年+取得した後の2年間」に長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないこと
(該当期間は取得した年によって異なるため最新の情報をチェックしましょう)
ペアローンなどを使って複数人で住宅ローンを組む場合、契約者それぞれの所得額が3,000万円以下でなければなりません。
所得には給与以外に事業や利子、配当など他の収入も含めて計算される点に注意が必要です。
また、売買契約書など見る書類によって床面積の基準が異なる場合があるため、必ず登記簿に記載されている床面積を参考にしましょう。
住宅ローン控除の適用要件(中古住宅の場合)
中古住宅で住宅ローン控除を受ける場合は、新築の場合と同じ要件をクリアする物件である必要があります。
また、それに加えて以下の適用要件のうちいずれかをクリアしていなければなりません。
- 建築された後実際に使用されたもの、かつ建築から取得する日までの築年数が戸建ては20年以下、マンションは25年以下であること
- 耐震等級が1級、2級、3級のいずれかであると評価されていること
- 耐震基準を満たした家屋であるとして、既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が結ばれていること
- 耐震基準を満たした家屋であるとして、不動産を取得するまでの2年以内に耐震基準適合証明書による証明を受けていること
中古住宅の場合は新築と同じ適用要件を求められるものの、加えて耐震基準を満たしている物件かどうかも重要視されます。
中古住宅独自の適用要件を知らずに買ってしまうと、控除を受けられない可能性があります。
控除を受けたい方は、1つ1つの適用要件に当てはまるか慎重にチェックしたうえで購入しましょう。
適用用件に当てはまるか判断するのが困難な場合は、不動産会社(仲介業者)に問い合わせてみるのもよいでしょう。
住宅ローン控除の内容
住宅ローン控除の適用要件に当てはまる不動産を購入すると、以下のメリットを得られます。
- 最大40万円の所得税控除を最長で10年間受け続けることが可能
- 消費税10%が適用された住宅を買った場合は最長13年間控除を受けられる
毎年のローン残高に対して1%分の金額が控除されるため、申告する年によって差し引かれる金額は変わります。
住宅ローン控除で軽減されるのはその年の所得税額の範囲までと決まっています。
そのため、所得税から軽減できなかった分は一部を住民税から軽減してもらうことが可能です。
ただし、所得税から差し引けなかった金額をすべて住民税で対応できないケースもある点に注意しましょう。
住民税から軽減できるのは、以下のいずれか少ない金額です。
- 所得税で控除できなかった額
- 平成26年4月~令和3年12月の間に購入した不動産の場合、課税所得金額のうち7%または136,500円まで
平成26年3月より前に買った不動産の場合は上限額や税率が異なるため、購入した時期に合った情報を確認しましょう。
不動産購入後の確定申告で必要な書類
つぎに、不動産購入後の確定申告で必要な書類について見ていきましょう。
1年目の確定申告では、おもに以下の書類が必要です。
- 確定申告書
- 住宅借入金等特別控除証明書
- 年末残高証明書
- 登記事項証明書
- 売買契約書のコピー
- 運転免許証など本人確認書類のコピー
- 源泉徴収票
- 中古の場合は住宅性能評価書の写しもしくは耐震基準適合証明書
それぞれの書類について詳しく解説していきます。
確定申告書は税務署などで受け取る他、国税庁のホームページからダウンロードしたり、電子申請で内容を入力したあとに印刷したりして入手することが可能です。
住宅借入金等特別控除証明書はローンの残金や床面積などを記入する用紙で、確定申告書と同じ方法で入手できます。
年末残高証明書は住宅ローンがいくら残っているのかを証明するためのもので、契約している金融機関から毎年届きます。
登記事項証明書は不動産の床面積などさまざまな情報が記載された書類で、法務局で入手することが可能です。
売買契約書や本人確認書類は所有しているものを申告のたびにコピーして添付しましょう。
源泉徴収票とは給与所得や所得税額などが記載された用紙で、勤めている会社から毎年発行されます。
住宅性能評価書の写し、耐震基準適合証明書は不動産を購入する際に、買い主もしくは不動産会社、建築会社から受けとりましょう。
2年目以降は、住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書だけ添付すればよいとされています。
会社で年末調整をする方は2年目以降から確定申告は不要になるものの、住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書を提出しなければなりません。
不動産を購入したときの確定申告の注意点
最後に、不動産を購入したときの確定申告で注意するべき点について見ていきましょう。
不動産購入後の確定申告では、おもに以下3つのポイントに注意が必要です。
- 確定申告の期間に注意
- 住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書は紛失しないように注意
- 会社員は2年目以降は確定申告が不要(ただし会社に所定の資料を提出)
それぞれのポイントについて具体的に解説します。
確定申告の期間に注意
不動産購入後の確定申告では、受付期間に注意が必要です。
確定申告は毎年だいたい2月中旬から申告受付がスタートし、3月中旬に受付を締め切ります。
住宅ローン控除の適用要件に当てはまる不動産を買うと、翌年の確定申告で手続きが必要です。
たとえば不動産を購入した時期が2020年12月だった場合、2021年2月から受付スタートする確定申告で手続きをしなければなりません。
このように不動産を購入する時期によっては締め切りまで余裕がないため、事前準備が重要です。
住宅ローン控除を申請する場合は契約と同時に確定申告の期間についても把握しておき、用紙に記入する内容や添付書類の種類をしっかりチェックしておきましょう。
住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書は紛失しないように注意
不動産購入後の確定申告では、必要書類を漏れなく準備しなければならない点に注意が必要です。
特に住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書は2年目以降も必要な書類です。
住宅借入金等特別控除証明書は家屋と土地ごとの年末残高、居住用部分の床面積などを記入するもので、2年目以降は控除を受けられる年数分が税務署から送られてきます。長期間の保存が必要になる書類ですのでしっかり保管しましょう。
年末残高証明書は申告する前年のローンが年末の段階でいくら残っているのかを証明するためのもので、契約している金融機関から毎年10月頃に届きます。
万が一紛失した場合、税務署や金融機関それぞれに再発行を依頼しなければなりません。
紛失に気付くタイミングによっては確定申告の期限に間に合わない可能性もあるため、手元に保管しているかどうかを早めに確認しておくことが大切です。
会社員は2年目以降確定申告が不要
会社員として雇用され給与をもらっている方は、住宅ローン控除に関しては2年目以降から確定申告が不要になります。
会社員が1年目に確定申告で住宅ローン控除を申請すると、その情報は税務署に残ります。
そのため、翌年からは、住宅借入金等特別控除証明書と年末残高証明書を会社に提出するだけで年末調整によって控除の申請手続きが可能になります。
2年目以降は税務署から送付される住宅借入金等特別控除証明書に必要事項を記入し、金融機関から届く年末残高証明書も添付して会社に提出しましょう。
もちろん、2年目以降であってもご自分で確定申告することは可能です。
会社の人にローンや家の詳細な情報を知られたくない方、寄付金など他に確定申告で手続きしなければならない控除がある方は年末調整で申告しなくてもよいでしょう。
まとめ
この記事では、不動産購入後の確定申告について解説しました。
不動産売買の契約をするタイミングによっては申告期限まで時間がないため、添付漏れなどがないように必要書類や受付期間を事前にチェックしておくことが大切です。
また、少しでもコストを削減したい方は、買う前から住宅ローン減税を受けられる用件を把握しておきましょう。
適用要件に当てはまる物件かどうかを個人で判断するのが難しいと感じている方は、不動産売買や減税措置に詳しい不動産会社(仲介業者)にアドバイスをもらうのがおすすめです。
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