物件を探していると、「再建築不可物件」を目にするときがあります。
他の物件と比べると価格も安い再建築不可物件ですが、具体的にはどのような物件を指すのでしょうか。
今回は再建築不可の中古住宅について、購入するメリット、デメリットや購入時の注意点を詳しく解説します。
再建築不可物件の中古住宅とは?
まず初めに、再建築不可物件の中古住宅とはどのようなものなのかについて解説します。
再建築不可物件とは、現時点で土地に建っている建物を壊して、新たに建物を建築することができない物件のことです。
なぜ再建築不可物件となってしまうのかについては、建築基準法で定められている「接道義務」が関係しています。
接道義務とは「建築物の敷地は、幅が4m以上の道路に2m以上接していなければならない」というものであり、この接道義務を満たしていない物件が再建築不可物件となるのです。
ただし、接道義務が適用されるのは都市計画区域または準都市計画区域内のみとなります。
なぜ再建築不可の中古住宅があるのか?
次に、なぜ再建築不可の中古住宅があるのかについて見ていきましょう。
建築基準法は1950年に定められたため、1950年以降に建築された物件に関しては、接道義務は果たしています。
また、都市計画法は1968年に定められたため、都市計画区域や準都市計画区域が指定されるようになったのは1968年以降となります。
つまり、1950年以前に建てられた物件もしくは都市計画区域や準都市計画区域に指定される以前に建てられた物件の中に再建築不可の中古住宅が存在するのです。
なお、総務省により実施された「平成30年住宅・土地統計調査」によると、都市計画区域に指定されている東京23区では、再建築不可と疑われる住宅数の割合が約5%となっています。
再建築不可の中古住宅でもリフォームすることはできる
再建築不可の中古住宅であっても、全くリフォームすることができないわけではありません。
ただし、リフォームができる範囲には制限があるため、通常の住宅のように自由にリフォームすることはできません。
具体的には、「建築確認申請が不要な工事」であればリフォームすることができます。
建築確認申請とは、増築や改築などの工事をする前に、その計画が建築基準法を満たしているかどうかを確認することです。
確認申請をすることで確認済証が交付され、確認済証の交付をもって初めて工事を始めることができるようになるのです。
再建築不可の物件は現在の建築基準法に違反しているため、本来は取り壊しの対象ですが、建築基準法制定以前に建築された建物については、例外として解体しなくてもよいとされています。
しかし、解体しなくてもいいとはいえ建築基準法に違反していることには変わりないため、建築許可が降りることはありません。
そのため、再建築不可の中古住宅は建築確認申請が不要な範囲のみリフォームすることができるのです。
再建築不可の中古住宅を購入するメリット
再建築不可の中古住宅を購入するメリットとして最も大きい点は価格の安さです。
再建築ができないということで土地の資産価値は非常に低くなるため、他の物件と比較してもかなりの低価格で購入することができます。
通常であれば都市部で駅に近いなど立地がいい物件は非常に高く、なかなか手が出せないものです。
しかし、再建築不可の物件なら同様の立地であっても、低価格で購入できることも少なくありません。
税金が安いという点も大きなメリットです。
固定資産税や都市計画税は、固定資産税評価額を基準に算出されています。
先述したように再建築不可の中古住宅は資産価値が低いため、固定資産税評価額も低く設定されます。
したがって、固定資産税評価額から算出される固定資産税や都市計画税が他の物件よりも割安になるのです。
また、再建築不可の中古住宅は相続税対策にもなります。
相続税評価額は路線価や固定資産評価額を用いて決定されるため、評価額が低い再建築不可の中古住宅は、相続税評価額も低くなる可能性があります。
その結果、節税としては非常に効果的なものとなる場合もあります。
金銭面で明確なメリットがある点が再建築不可の中古住宅の特徴といえるでしょう。
再建築不可の中古住宅を購入するデメリット
もちろんメリットだけではなくデメリットも存在します。
再建築不可の中古住宅を購入するデメリットについても詳しく見ていきましょう。
先述したように、リフォームに関しては範囲が決まっているものの可能です。
しかし、建て替えに関しては完全に不可能なため、明確なデメリットといえます。
再建築不可物件はその性質上1968年以前に建築された建物のため、築年数が古く老朽化している場合も少なくありません。
本来なら建て替えしたいような状態であっても細かな修繕などで凌ぐ必要があり、修繕費が必要となってしまいます。
さらには、災害によって建物が全壊してしまったような場合であっても、再建築不可物件は再建築することができないのです。
また、住宅ローンの融資が受けられない場合が多い点もデメリットとして挙げられます。
再建築不可の物件は資産価値が低いため、担保価値も同様に低くなってしまいます。
結果、担保価値が低いために、住宅ローンの融資が受けられなくなってしまうのです。
メリットとして価格の安さを挙げましたが、住宅ローンが受けられないということは現金により一括で購入しなければならないため、金銭的に余裕がない場合は非常に大きな負担となってしまいます。
さらに、道路の狭さもデメリットといえるでしょう。
再建築不可の物件は接道義務を満たしていないため、道路の幅が4m未満であったり、道路に2m以上接していなかったりします。
このような狭い道路の場合、当然使い勝手も悪く、道路の狭さ次第では災害時などに救急車や消防車が住宅の近くまで進入できないということも起こり得ます。
購入したい中古住宅が再建築不可だった際のチェックポイント
ここまで再建築不可の中古住宅のメリット、デメリットについて見ていきました。
メリット、デメリットを踏まえたうえで、再建築不可の中古住宅を購入したいと思った場合は、どこに注目すればよいのでしょうか。
購入したい中古住宅が再建築不可だった際のチェックポイントについても見ていきましょう。
排水状況を確認
まずは排水状況がどのようになっているかを確認しましょう。
再建築不可の物件は、道路に接していない場合が多いことから、他人の土地に囲まれているケースが少なくありません。
排水管が他人の土地を占有していた場合、もし修繕が必要となった際に独断で行うことが難しいほか、占有料が必要となる場合もあるため注意しましょう。
雨水の排水がどのように下水溝まで流れるようになっているかも確認しておきましょう。
ただ地面に流しているだけの場合は、流水により基礎に悪影響がでることも考えられるためです。
風通しや日当たりを確認
道路に接していない、もしくは接していても道路が狭いということは、周囲を住宅で囲まれていることが多いです。
周囲に建築物があるとそれだけ風通しや日当たりが悪くなるため、湿気がたまりやすくなります。
また、日当たりの悪い家で過ごすことによって、気分的にも憂鬱な状態になってしまう可能性も考えられます。
洗濯物が乾きづらくなる点も注意しなければなりません。
日照権が示すように、日当たりのよさは物件において無視できないほど大きな条件となります。
日当たりのよさについては物件を購入する前によく確認して、慎重に購入を検討するとよいでしょう。
インフラ状況を確認
排水管と同様に、電気やガス、水道がどのような経路で引き込まれているのかは絶対に確認しておくべきです。
道路に接していないことが多く周囲を住宅で囲まれている再建築不可の物件においては、ガスや水道の引き込み管が他人の土地を占有している場合は少なくありません。
ガスや電気においても排水管と同様に、他人の土地を占有していた場合は、独断で修繕を行うことが難しかったり、占有料が必要となってしまう場合があります。
以上の3つのチェックポイントはできるだけ細かく確認しておきたいため、専門家に調査を依頼して、一緒にチェックすることをおすすめします。
再建築不可の中古住宅でもリフォームすれば中長期的に住むことができる
再建築不可の中古住宅は、リフォームによって住宅の寿命を延ばすことで中長期的に住むことが可能です。
中長期的に住むことにより、住んでいる間に周囲の環境が変わり、再建築可能な条件を満たせる場合もあります。
例えば、間口が極端に狭いために接道義務を満たせなかった物件の場合や、何らかの理由で周辺の土地が空いた場合に、周辺の土地を購入することで間口を広めることが可能なら再建築可能と認められます。
再建築が可能になれば資産価値も上がるため、将来的に物件を売却するとなった際に売却額の増加が見込めるほか、場合によっては購入時よりも高い価格で売却することができるかもしれません。
また、再建築不可の物件であっても賃貸物件とすることは可能なため、立地や雰囲気が良好な物件であれば、購入価格の安さゆえに高い利回りが期待できるでしょう。
再建築不可の中古住宅であってもリフォームをすれば中長期的に住むことは十分可能なため、再建築不可の中古住宅を検討する際は、中長期的に住むことを前提に考えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、再建築不可の中古住宅のメリット、デメリットや購入する際の注意点について詳しく紹介してきました。
もし再建築不可の中古住宅について、さらに詳しいことを知りたい、プロの意見を聞きたいという場合は江古田プランニング株式会社にお問い合わせください。
弊社では、設立以来一貫して、出来る限りの情報を開示し、その上で物件を紹介させていただいております。
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