物件を探していると借地権付き物件というものを目にする機会が多いのではないでしょうか。
借地権付き物件は価格が安い傾向にあるため、お得だと思う反面、借地権付きだと何かデメリットがあるのではないかと気になった人もいることでしょう。
そこで今回は、借地権付き物件とは何なのか、借地権について詳しく解説するとともに、借地権付き物件のメリット、デメリットについても解説していきます。
借地権とは?
借地権は、一言で言うと建物を建てるために他の人の土地を借りる権利を指します。
土地には所有権と借地権があり、所有権の場合は土地、建物ともに自分のものとなりますが、借地権の場合は土地は地主のもので建物が自分のものとなります。
また、借地権は以下の3つに区別されます。
- 旧法借地権
- 普通借地権
- 定期借地権
順番に解説していきます。
建物の構造で契約期間が変わる「旧法借地権」
借地権に関する法律は、1991年8月1日に借地借家法として、従来の借地法、借家法が統合されたものとなりました。
この借地借家法制定以前の借地法による借地権のことを旧法借地権といいます。
旧法借地権は、借地契約を更新し続けることで半永久的に土地を借り続けることができるという特徴があります。
借地権の契約期間は鉄筋コンクリート造やコンクリート造の建物は30年間、木造の建物は20年間となっています。
また、契約期間の定めがない場合は、建物が耐用年数の経過により腐食、老朽化し、その機能を失った(朽廃)した場合、借地権は自動的に消滅します。
半永久的に土地を借り続けられるということは地主側からすると貸した土地が半永久的に戻ってこないということになるため、どちらかというと借り手側が優位な権利といえるでしょう。
構造で契約期間制限はない「普通借地権」
普通借地権は、借地借家法で新しく制定された権利の一つです。
契約期間は建物の構造に関係なく一律で決まっており、始めは30年間、一回目の契約更新後は20年間、それ以降の契約更新後は10年間となっています。
また、普通借地権は契約更新が前提となっており、正当な事由がない限り地主は契約を更新しなければいけません。
普通借地権の契約期間満了までに建物が滅失してしまった場合、地主の承諾があれば建物を再建築し、承諾した日または再建築の日の早いほうから20年間新たに契約を結ぶことができます。
逆に言うと建物が滅失した時点で地主側は契約を破棄することも可能なため、半永久的に土地を貸し続けなければならなかった旧法借地権と比べると地主側の立場が上がっているといえるでしょう。
契約期間を定める「定期借地権」
定期借地権は、初めに契約期間を定めて土地を貸し出すため、契約の更新がありません。
契約期間が満了したら契約が更新されることはなく土地を地主に返還することになります。
定期借地権は「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付定期借地権」の3つに分類され、それぞれ契約期間が異なります。
住宅の場合は一般定期借地権である場合がほとんどで、一般定期借地権の契約期間は50年以上と定められています。
契約期間が決まっているために地主側は安心して土地を貸すことができるので、土地の貸し借りが円滑に行われるメリットがあります。
借地権付き物件を購入するメリット
では、所有権ではなく借地権付き物件を購入するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
借地権付き物件を購入するメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 税金がかからない
- 価格が安い
- 更新すれば土地を使い続けられる
順番に解説していきます。
税金がかからない
土地の所有権を獲得した場合、土地の所有者となるため土地を自分の財産として自由に使用できます。
土地の所有者になるということは、固定資産税や都市計画税などの土地にかかる税金を毎年支払わなければならないということになります。
しかし、借地権付き物件なら土地にかかる税金は地主が負担するため、税金にかかる負担を軽減することができます。
土地にかかる税金はそれほど安いものではないため、税金を地主が代わりに負担してくれるというのは大きなメリットといえるでしょう。
都市部は税金が高いため、都市部に住んでいる場合はより大きなメリットとなります。
価格が安い
価格が安いという点は、単純にして最も大きなメリットといえます。
土地も購入する場合と比較すると、借地権付き物件は6割から8割程度の価格で購入することができます。
都市部は土地が高く、立地が良ければさらに土地の価格は上がるため、土地の価格が安いというのはそれだけで非常に大きなメリットです。
少しでも立地のいい物件にしたい場合は借地権付き物件も候補に入れておくことをおすすめします。
住宅の購入には非常に高額な費用が必要なため、その負担を抑えることができるというだけで、借地権付き物件には一考の余地があるといえるでしょう。
更新すれば土地を使い続けられる
旧法借地権か普通借地権の場合限定ではありますが、更新すれば土地を使い続けられるという点も借地権付き物件のメリットです。
制度上はいずれ土地を返さなければならず、土地を所有する場合と明確に違う部分ですが、実際には定期借地権以外は契約期間を延長することで、土地を使い続けることが可能です。
建物が滅失するなど地主側に契約延長を拒否する正当な理由がない限りは契約は延長されるため、結果的に税金や土地代などの負担を大きく軽減出来る上に物件に住み続けることができるのです。
総じて金銭的負担を抑えられる点が借地権付き物件を購入するメリットといえるでしょう。
借地権付き物件を購入するデメリット
次に、借地権付き物件を購入するデメリットについてもみていきましょう。
借地権付き物件を購入するデメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 融資を受けにくいこともある
- 地代が発生する
- リフォームするのに許可がいる
順番に解説していきます。
融資を受けにくいこともある
借地権付き物件は、借りた土地の上に建物を建てているため、所有権がある場合と比較すると物件の担保価値が低くなってしまいがちです。
物件の担保価値が低いと融資を受けにくくなってしまう場合があります。
築年数の古い建物はそれだけ価値が低くなるため、借地権付きの古い物件となるとより一層融資を受けることが困難になります。
特に定期借地権の場合、契約期間が定められているため、期間満了したら建物を取り壊して土地を返還する必要があります。
そのため、建物を担保にすることが難しく融資を受けることは非常に困難であるとされてきました。
しかし、最近は定期借地権付き住宅ローンが増えてきているため、こちらを利用すれば融資を受けることができるようになりました。
地代が発生する
借地権付き物件は、土地を地主から借りているため、地主に対して地代を祓わなければいけません。
地代は契約によって当事者が自由に金額を決めることができるほか、支払方法についてもまとまった額を一度に支払ったり、分割で支払ったりなどある程度自由にきめることができます。
支払いは月ごとに支払うのが一般的ですが、当事者同士の取り決めで月払いでなく年払いとすることもできます。
また、地代には消費税はかかりません。
地代を払わなくてはいけないといっても、実際は固定資産税や都市計画税などの土地にかかる税金は地主が負担してくれるため、総合すると特別デメリットといえるものではないかもしれません。
リフォームするのに許可がいる
借地権付き物件をリフォームしたくなった場合、または建物を譲渡する場合には地主に許可を得る必要があります。
土地の所有権が自分ではないことで一定の制約がかかるためです。
地主の許可を得られたとしても、神社やお寺などが地主の場合は手続きに時間がかかる場合があります。
また、リフォームの規模次第では地主に支払いが発生するケースがある点にも注意が必要です。
地主の許可なく勝手に新築やリフォームの手続きを進めてしまうとトラブルの原因となりかねないため、リフォームを検討する際には絶対に地主と相談するようにしましょう。
地主とのトラブルに発展する可能性があることから、借地権付き物件では最も大きなデメリットといえるでしょう。
借地権付き物件の購入は慎重に検討しよう
借地権付き物件には3つの区分があるほか、メリット、デメリットもそれぞれ複数存在するため、借地権付き物件の購入は慎重に検討したほうがよいでしょう。
まず借地権の区分ですが、旧法借地権と普通借地権は性質が似ていますが、定期借地権はこれら2つは明確に違うものとなるため、購入を検討している借地権付き物件についている借地権がどれなのかをよく確認するべきです。
また、メリット、デメリットについてもそれぞれどのような点がメリット、デメリットなのかを十分に把握しておくことが適切な借地権付き物件の購入につながります。
借地権付き物件は、土地を長期間借り続けることになるため、長期間の運用となることを頭に置いておきましょう。
メリット、デメリットともにお金に関する部分が多いため、収益性を慎重に検討することが大事といえます。
地主とのトラブルを回避するためにも、メリット、デメリットを含む借地権のおおまかな概要については把握しておいたほうが無難です。
まとめ
この記事では、借地権と借地権付き物件のメリット、デメリットについて、詳しく紹介してきました。
もし借地権付き物件について、さらに詳しいことを知りたい、またはプロの意見を聞きたいという場合は江古田プランニング株式会社にお問い合わせください。
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