「現在、購入を検討している中古住宅の地盤は大丈夫だろうか?」
中古住宅を購入する際、地盤について心配に思っている方も多いのではないでしょうか。
地盤が弱いとせっかく購入した住宅が傾いたり、最悪の場合は住めなくなってしまう可能性もあります。
そのため、中古住宅を購入する際は、建物はもちろん地盤にも気を配らなければなりません。
そこでこの記事では、「中古住宅の地盤をチェックする方法」や「中古住宅の地盤に関する注意点」を解説していきます。
この記事を読めば、建物だけでなく、地盤にも納得した中古住宅が選べるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。
中古住宅の購入で地盤は重要
日本は地震や大雨も多いため、建物のみならず地盤にも注意して購入に踏み切らなければなりません。
もし仮に、地盤の弱い土地に建つ中古住宅を購入してしまった場合、どのような影響が出るのでしょうか?
以下で説明していきます。
建物が良くても地盤がダメなら傾きの原因になる
どんなにいい物件でも、地盤が弱ければ地盤沈下を起こし、傾いてしまいます。
外観・内観がきれいで、土地柄もよい物件を購入したとしましょう。
「穴場の物件を見つけた!」と喜んでいたのも束の間、数年住んでいるとだんだん身体に違和感が表れてきました。
よくよく調べてみると、建物が傾いていることが判明したのです。
この物件は、とてもきれいな物件だったのに、なぜ傾いていたのでしょう?
それはまさに、地盤が弱かったからです。
家が傾けば、当然工事が必要になるとともに、莫大な費用がかかります。
これでは、あえて中古住宅を購入し、費用を抑えた意味がありませんよね。
中古住宅の中には、リフォームをしてから売り出される物件も多く、ついつい見た目で判断してしまいがち。
しかし、目に見えるところだけでなく、地盤などの目に見えないところまで疑ってかかる心構えが必要なのです。
地盤が弱いと地盤補強・改良工事が必要
先述したように、地盤が弱いと建物が傾いてしまうため、地盤補強や改良工事が必要になります。
「家が傾いたままでも暮らせないか?」と思う方もいるかもしれません。
建物が傾いたまま生活を続けると、以下のような弊害が起きてしまいます。
- 建物の骨格が歪むことにより、窓やドアの開閉がしづらくなる
- 断熱性・気密性が下がり、エアコンの効きが悪くなる
- 建物に亀裂が入り、雨漏りが起きる
- ガス管・水道管に亀裂が入り、ガス漏れ・水漏れが起きる
- 倒壊する
また、人体への影響も強く、めまい・頭痛・吐き気・食欲不振・浮遊間・睡眠障害といった重大な症状を引き起こす原因になります。
以上のことから、地盤が弱い家に住み続けたいのであれば、必ず地盤補強や改良工事をする必要があります。
残念ながら、地盤補強や改良工事のための費用は、壁紙の補修などとは違い、莫大な費用がかかります。
ジャッキを使って傾きを修繕する「鋼管圧入工法」や、薬液を基礎の下に流し込み地盤を修繕する「薬液注入工法」といった工事がありますが、いずれも数百万の費用となります。
中古住宅の購入時の地盤のチェックポイント
ここまでは、地盤の弱い土地に建つ中古住宅を購入した場合の影響についてお伝えしてきました。
中古といえど、決して安い買い物ではありません。
そのため、購入してから泣き寝入りすることのないようにしたいですよね。
そこでここからは、中古住宅の購入時に自分でできる、地盤のチェックポイントについて解説していきます。
地盤調査報告書を確認する
1つ目のチェックポイントは、「地盤調査報告書」を確認することです。
「地盤調査報告書」とは、土地の形状・地質の種類・地盤の固さ・地盤改良工事の必要性などが記載された文書のことです。
住宅の新築時に地盤調査をした証拠として発行されます。
購入を検討している中古住宅が、売主により新築されたものであれば、この調査報告書を持っているでしょう。
そのため、取引き前に見せてもらうようにしましょう。
調査報告書に書かれている内容に問題がなければ、今後もほぼ問題がないと捉えて大丈夫です。
ただし、非常に見方の難しい書類なので、仲介業者や専門家等にも内容を確認してもらうと、さらに安心できるでしょう。
また、築年数によっては地盤調査報告書がないということもあります。
地盤調査が義務付けられたのは2000年(平成12年)です。
それ以前に建てられた住宅に関しては報告書なく、地盤調査を行っているかも分かりません。
たとえ2000年以降に建てられた住宅であっても、売主が報告書を紛失している可能性は十分あります。
気になる中古住宅があれば、まずは書類の有無を確認してみましょう。
近隣の地盤調査データを調べてみる
2つ目のチェックポイントは、「近隣の地盤調査データを調べてみる」ことです。
インターネットや役所等で、近隣の地盤調査データを調べることができるので、ぜひ活用しましょう。
インターネットの場合、「地盤マップ」と検索すると、下記のようなさまざまなサイトが出てきます。
この方法で注意してほしいのは、ピンポイントでデータを検索できないところです。
購入を検討している住宅の敷地データがあることはごく稀で、ほとんどの場合、近隣のデータしか出せません。
地盤は、お隣同士でもまったく違う可能性があります。
そのため、地盤調査データはあくまで参考程度に閲覧するようにしてください。
建物に出ている症状をチェック
3つ目のチェックポイントは、「建物に出ている症状をチェック」することです。
この方法は意外と有効な手段なので、よく理解しておきましょう。
地盤が弱いうえ、建物を建築する際に適切な地盤改良工事や補強工事を行っていない住宅は、以下のような症状が出ている場合が多いです。
- 床や柱の歪み
- 基礎や外壁のひび割れ
- ドア枠とドアの垂直が合っていない
- 庭が陥没している
中古住宅の見学に行く際は、これらの症状が出ていないか、注意して見てみましょう。
ただし、単に住宅が劣化しているだけの可能性もあり、慣れていない人には判断が難しいこともあります。
そのような場合は、「ホームインスペクション」という住宅診断を第三者に依頼するのも有効です。
多少費用はかかってしまいますが、住宅の専門家(建物状況調査士/インスペクター)が建物内外の劣化状況や欠陥の有無を教えてくれるので、より参考になる見解が得られるでしょう。
注意してほしいのは、ホームインスペクションは建物専用の診断であることです。
あくまで「建物の症状から地盤を推測してもらう」ため、地盤のことが100%分かる訳ではないということを頭に入れておきましょう。
近隣の建物・外構に出ている症状をチェック
4つ目のチェックポイントは、「近隣の建物・外構に出ている症状をチェック」することです。
前述した「建物に出ている症状をチェック」の方法と同じように、近隣住宅の外壁や外構の状態を確認しましょう。
特にブロック塀は、症状が分かりやすく出ている可能性が高いです。
ただし、経年劣化の可能性も大いにあるので、あくまで参考程度にとどめ、ひとつの症状を見ただけで、軟弱地盤だと決め付けることのないよう注意してください。
中古住宅の地盤に関する注意点
中古住宅の購入時には、売主に地盤の確認を取るようにしましょう。
ただし、売主の「大丈夫」の一言を鵜呑みにしないよう注意してください。
以下では、地盤に関する質問をする際の注意点を示していきます。
ここに書かれたことを頭に入れて、売主の説明内容に不明瞭な点がないか確認してみてください。
売主が地盤補強・改良工事をしていないことがある
建物を新築する際、地盤がよくないと分かれば、通常は、地盤補強や改良工事を行います。
地盤調査会社の地盤調査報告書にも見解が述べられているため、当然対応しなければなりませんし、住宅の設計者もそれを進言するはずです。
しかし先述したように、地盤補強・改良工事には大幅な費用が上乗せされてしまいます。
そのため、施主(中古住宅の売主)がそのような工事を断る場合があるのです。
こういったケースは施主だけではなく、住宅会社にも問題があります。
というのも、住宅会社は住宅のプロではありますが、地盤に関しては専門外です。
そのため、住宅を建てる際のコストを重視して、地盤の説明を怠る場合があります。
したがって、中古住宅の売主から「地盤補強・改良工事をしていないけれど大丈夫」という趣旨の話をされた場合は、「本当に工事をする必要がなかったのか」「地盤補強・改良工事をする必要があったのにしなかったのか」を疑う必要があります。
地盤補強・改良工事をしているのであれば施工報告書がある
売主が地盤補強や改良工事をしているか否かを判断する方法があります。
それは、「施工報告書」の提示を求めることです。
地盤調査の結果、地盤補強や改良が必要だと判断され工事を行った場合は、それを証明する「施工報告書」が渡されます。
施工報告書は写真を添付したうえで、施主に渡すことになっています。
「施工報告書」があるかどうか、「地盤調査報告書」と合わせて確認してみてください。
まとめ
この記事では、以下の項目について解説しました。
- 中古住宅の購入で地盤が重要なこと
- 中古住宅の購入時の地盤のチェックポイント
- 中古住宅の地盤に関する注意点
中古住宅を選ぶ際は、目に見える部分だけでなく、見えない部分の状態も気にすることが、とても大切です。
購入してから莫大な費用をかけて工事する必要のないよう、調査に基づいたデータを閲覧したり、自分の目で建物の症状を確認したりして、最大限にできることを行っておきましょう。
また、自分だけの判断では不安、報告書や建物の見方が分からないという場合は、多少の費用を惜しまず、住宅診断士などの有資格者に住宅診断を依頼したり、第三者の専門業者に相談したりして、より安心材料を増やしたうえで、住宅を購入するようにしましょう。
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