不動産を購入する際の手数料には、不動産業者への仲介手数料のほかに名義変更登記をする司法書士への登記費用があります。

不動産売買には、売主と買主がいますが、その費用はどちらがどのように支払うのでしょうか。

今回は、不動産を購入したときの登記費用は誰が負担するのかについて詳しく解説していきます。

 

不動産購入時の登記費用とは?

登記費用には大きく分けて、「司法書士の報酬」と「登録免許税(収入印紙代)」の2つがあります。

司法書士の報酬は、事務所で報酬規程を定められることになっていますので、いくらという決まりはありません。

これに対して、登録免許税は法律で計算方法・税率が決められています。

この司法書士の報酬と登録免許税それに郵送費や謄本代など数千円の実費を加えたものが登記費用と言われるものです。

 

登記には「所有権移転登記費用」と「抵当権抹消登記」などがある

不動産の取引をする場合には、売主は登記簿上の住所が変更されていれば今の住所に変更するための登記、住宅を購入した際に住宅ローンを設定した場合には抵当権の抹消登記をしなければなりません。

 

この後に所有権移転の登記をして買主の名義となります。

また、買主が住宅ローンの融資を受けて購入する場合には、抵当権の設定登記も行います。

 

すなわち、

①住所変更登記(売主側)

②抵当権抹消登記(売主側)

③所有権移転(売主・買主)

④抵当権設定(買主側)

というように連続した形で登記を申請するのが一般的です。

 

住所変更が必要であるにもかかわらずせずに所有権移転を申請すれば、所有権移転は取り下げなければなりません。

また、抵当権がついているにもかかわらず、抹消せずに所有権移転登記を申請すれば、買主は売主の抵当権が残ったままの不動産を取得することになってしまいます。

これは問題です。

 

住所変更や抵当権抹消が不要な場合もありますし、買主が住宅ローンを組まずに購入する場合もありますので、その場合該当する手続きは必要なくなります。

これらの項目ごとに司法書士報酬と登録免許税(収入印紙代)が発生し、それらを登記費用といいます。

 

不動産購入時の登記費用は誰が負担する?

上述のとおり、売主側で必要な登記費用は売主が負担しますが、所有権移転登記は売主、買主双方に関係します。

そのあたりの負担はどのような決まりになっているのでしょうか。

 

所有権移転登記費用は購入者が負担する

所有権移転登記では、売主が負担する司法書士報酬は、売り渡し書類作成費用として20,000万円~30,000円程度である場合が多く、登録免許税(収入印紙代)は売主は負担せずに、買主側で負担するのが慣例です。

また、地域によっては売主は所有権移転登記の費用は発生しないの慣例であるところももあります。

つまり、所有権移転登記においては、双方にかかわる手続きではありますが、買主が登記費用を負担します。

 

抵当権抹消登記の費用は売る側が負担する

上記の4件の登記申請のうち、売主が負担する登記費用ですが、まず①の住所変更登記があります。

これは司法書士報酬が10,000円前後、登録免許税(収入印紙代)が不動産の個数×1,000円となります。

たとえば、土地と建物の場合は、報酬が10,000円前後、登録免許税が2,000円となるわけです。

次に、②の抵当権の抹消登記も売主側負担の登記なります。

この司法書士報酬も10,000円前後、登録免許税(収入印紙代)が不動産の個数×1,000円となります。

ただし、登記簿上の住所と現在の住所が同じであったり、抵当権がついていない不動産であればこれらの売主側の登記費用は発生しないことになります。

 

登記費用は原則として現金で納付

不動産を契約すると、売買契約書の締結時に手付金として売買代金の数%を売主に支払い、残りの残代金を後日残代金決済日を定めて売主に支払います。

住宅ローンの融資を受ける場合には、決済日に売主、買主、不動産仲介業者、司法書士が融資の銀行に集まります。

そして、銀行から買主の口座に融資金が振り込まれ、そのまますぐに売主の口座に残代金が送金される形で決済されます。

この際に、別途、不動産業者への仲介手数料、固定資産税の清算代金、登記費用などの精算も行われます。、仲介手数料は不動産業者に、固定資産税精算金は売主に、登記費用は司法書士にそれぞれ支払います。

 

購入者が負担する具体的な登記費用

上述のとおり、住所変更登記や抵当権抹消登記などの売主のみに関連するものの登記費用は売主が負担します。

買主は、所有権移転登記の登記費用と住宅ローンを組んだ場合の抵当権設定費用を負担することになります。

では、具体的にはどのような費用が発生するのでしょうか。

 

所有権移転登記の費用

所有権移転に伴う司法書士報酬は、おおよそ50,000円前後であることが多いかと思います。

登録免許税は、不動産の固定資産評価証明書に記載された評価額を基に算出します。

固定資産評価額は、不動産管轄の市区町村で発行されます。

登録免許税の計算方法は、土地が評価額×1,000分の15で、建物が評価額×1,000分の20となります。

 

たとえば、土地の評価額が1,500万円、建物の評価額が1,000万円である場合の登録免許税は、土地が225,000円、建物が200,000円で合計が425,000円となります。

ただし、建物については「住宅用家屋証明書」が取得できる場合には、税率が1,000分の3に軽減されます。

「住宅用家屋証明書」とは、取得の要件が決まっており、①購入者自身が居住すること ②床面積の合計が50㎡以上あること ③築年数が木造20年以内、鉄筋25年以内であること

これらの要件に当てはまれば不動産管轄の市区町村で発行してもらえます。

通常は、司法書士が代わりに取得しに行きます。

これが使えるのであれば、上記の1,000万円の評価額の建物の登録免許税は1,000分の3の税率となり、登録免許税が3万円と軽減されます。

 

抵当権設定登記の費用

買主が住宅ローンの融資を受けて不動産を購入する場合には、抵当権設定登記が必要となります。

この抵当権設定登記の司法書士報酬は、おおよそ3万円~5万円というケースが多いかと思います。

登録免許税は、融資額(債権額)×1,000分の4です。

たとえば、債権額が3,000万円であれば、登録免許税は12万円になります。

ただし、上記で説明した「住宅用家屋証明書」が取得できるケースでは、この税率が1,000分の1まで軽減されますから、3,000万円の債権額の場合には登録免許税が3万円まで軽減されるというわけです。

 

司法書士に支払う手数料

司法書士に支払う報酬額としては、売主は3万~5万円程度、登録免許税が数千円というケースがほとんどです。

買主の場合には、司法書士報酬が所有権移転分、抵当権設定分合わせて10万円~15万円前後、登録免許税は上記のとおり不動産評価額、住宅用家屋証明書の有無、債権額によって大きく変動します。

 

不動産購入時の登記費用についての注意点

不動産購入の際に必要となる登記費用については、司法書士の報酬は多少依頼する事務所によって変動はありますが、登録免許税は誰がやっても同じ額になります。

ですから、上記の説明でおおよその費用がわかるかと思います。

ここでは、その他の追記事項について触れておきます。

 

登記はなるべく司法書士に依頼したほうが良い

登記費用をなんとか安くならないかと考えた場合に「自分で登記できないか」と思われるかもしれません。

結論から言いますと、法律的にはご自身で登記することはなんら違反でもなく可能です。

しかし、不動産取引の場合には、残代金の決済を銀行で行い、その場で数千万円が一気に送金されます。

これは、当然銀行側はこの取引、登記の確実性を信用したからこそできるわけです。

実際に決済の場では、司法書士がすべての登記に必要な書類を確認し、問題ないと確信をもって銀行側に融資のGoサインを出します。

これは国家資格者であることの信頼であり、一般の方のGoサインでは数千万円は動きません。

ですから、現実的には不動産取引の所有権移転登記を司法書士資格を持たない人が行うことはできません。

他の関係者が関与しないような相続の登記などはご自身される方もいるようですが、手間を考えると頼んでしまう方が多いかと思います。

登記費用は譲渡費用には含まれない

不動産を売却する際に、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

この譲渡した際にかかった譲渡費用には仲介手数料や印紙税、測量費などが入りますが、登記費用は含まれないことに注意しましょう。

 

まとめ

この記事では、

  • 登記費用の内容
  • 登記費用の負担
  • 登録免許税の計算

について説明いたしました。

 

登記申請というのは単純な書類の手続きだと思われる方もおられると思いますが、司法書士は事前に各方面に確認をし事故のないように綿密な準備を行い、決済当日を迎えます。

司法書士の報酬は、書類作成料であると同時に責任料でもあります。実際に事故があった場合に備えて司法書士は通常数億円の職業賠償保険にに加入しています。

不動産取引は高額であり、また多くの関係者が関与することから、「見落としていました」や「間違えましたのでやり直します」が通用しない世界です。

失敗による損害を生まないために、慎重に調査、確認を行ったうえで、円滑かつ安全な取引を保証しているのです。

登記費用は高いと思われる方も多いですが、高額になるのは前述の登録免許税を含んでいるからなのです。司法書士への報酬部分は10万円~15万円以内で収まることがほとんどです。

この金額で安心して一生モノの自分の権利を安全に確保できると考えれば、さほど高額報酬とはいえないのではないでしょうか。

 

とはいえ、不動産購入の際の初期費用はなるべく安く抑えたいものですよね。

初期費用の中には登記費用の他に、不動産仲介業者に支払う仲介手数料があります。

仲介手数料を安くしたいとお考えの方は、江古田プランニング株式会社にお問い合わせください。

余計な人件費や広告費、その他の固定費を削減しているため、仲介手数料を安く抑えることができます。

東京都練馬区周辺で不動産売買を考えている方は、お気軽にお問い合わせください。

 

江古田プランニング株式会社

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